家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

木取

丸太を斧で割る 長い材料をフロイで割る シェービングホースで削る 座面以外の全てのパーツは、生木を切断し、割ってから加工します。
脚、スピンドル、ストレチャーなど全てのパーツは、太目の枝を必要な長さに手鋸で切り、斧(Axe)で割ります。
割られた材は、横に切ったミカンを上から見たような状態なので、中心側の鋭角部分を斧で、ザッと落とします。

これを、シェービングホース(Shaving Horse)と呼ばれる、固定具にセットし、ドローナイフ(Draw Knife)で成形します。
ドローナイフは両サイドを持ち、引いて使います。生木だと、サクサク削ることができます。

皮をはぎ、三角形から、粗い四角形、更に八角形に成形して旋盤に架けます。
ある程度は真っ直ぐにしておかないと、必要な直径に仕上がりませんし、太すぎると、時間が掛かり過ぎてしまいます。

シェーピングフォースは、跨って使う伝統的な大型の道具で、中々興味深い構造をしています。
これに跨り、振り子のようなバー(アーム)を脚で押すと、テコの原理で、材料を押えるようになっています(画像上から3番目)。
材料を固定するアームは、最適な位置にアジャストすることができます。

シェービングホース図面 画像(一番上)は、切った丸太を斧で割っているところ。
斧は、身体に対して真横に向けています。
縦方向に向けると、割れたとき(生木は予想より簡単に、パカッと割れる)、斧の刃先が脚に向かうので非常に危険なため、それを避けるためです。

長い材料は、フロイ(Froe)と呼ばれる道具で、画像(上から2番目)のような感じで割っていきます。
実際は、繊維に沿って真っ直ぐ割れていくというものでもありません。
割れが真っ直ぐではなく、それていく場合には、材料を弓状に曲げ、割れていく方向をコントロールします(材料を曲げると、割れは外側へ向かう)。

ちなみに、曲げ用の部材は、長さが1m50cm位必要です。フロイで割ってから、ドローナイフで角材に成形します。長いので、シェービングフォームは使いません。

この工程の画像は撮っていなかったので、ネットから探してきました。
固定の仕方が多少違いますが、割る感じは判ると思います。

ポールレイズ全体像 足踏式の木工旋盤(ポールレイズ:Pole Lathe)は、足踏式で、細くて長い枝をバネとして利用する旋盤です。
踏板と長い枝が紐で結ばれ、その紐を材料に2回巻きつけてセットします。
足で踏むと、材料が手前に回転し、その時に刃物を当てて削ります。
踏板から脚を離すと、枝のしなりで巻き戻ります。

ポールレイズ使用中 脚で踏板を踏んだ時に、バイトを材料に当てて削り、踏み下ろすとバイトを離します。
このタイミングに慣れるのに多少時間が掛かるし、連続では削れないので、全てのパーツを仕上げるのに結構時間が掛かります。

画像を見れば判るように、実にシンプルな構造です。
ヘッドストックとテールストックは、楔による固定です。
ツールレストは固定されず、材の太さによってスペーサーをかまして材料との距離を変えます。

クランクセットは、既製品もありますが、鍛冶屋が作って売っているという程度のものです。
ヘッドストック側は、ボルトの先端を尖らしたものでも使えます。
クランクは、溶接加工をしなければなりません。

モーター旋盤の、プーリ部分に紐を掛けるようにしたものもあります。
これは、いちいち材料に紐を掛けなくていいので効率がいいのですが、伝統的な手法で作るというイメージが崩れるせいか、使われているのをほとんど見かけません。
現在のグリーンウッドワーキングは、回顧主義的な趣味世界であるためかもしれません。

画像は、講師ガドランの実演。実にサクサク削り、木っ端が飛び散っています。
(2014/08/11)