家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

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家具工房 家具制作鯛工房・ファスチェスト(オーク) FS-ch-oak
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ファス チェスト (オーク)

FS-ch-oak

私が師事した家具職人、故菊池勇は、戦後の東京芝で洋家具を作っていました。
私は彼に、東京の洋家具の作り方を習いました。
それを基本に、構造各部、ディテールを自分なりにアレンジし、標準化していきました。

その手法に沿って制作したサンプルが、前頁のカップボードです。
東京芝の家具を、自分が納得のいくレベルまでアレンジし、標準化出来たと考えた後、日本というアイデンティティを、家具のデザインに投影出来ないかということを考えていました。

ヨーロッパでは、東洋の様式なども巧みに取り入れ、自分達のオリジナルまで昇華した家具を創り出しています。
トーマス チッペンデールのチャイニーズチェア等は、その好例です。
これまで学んできた、洋家具のデザインから構造までを、自分達の背負ってきたものをベースに再構築する。
そして、彼らに提案できたら素晴らしい事ではないか。そのように考えていたのです。

そして、デザインを起こしていったのが、前頁のカップボードを除いた、キャビネット類と、チェストです。
お判りの様に、このチェストは、和箪笥をモチーフにしたものです。
和箪笥をモチーフに、「内に込める」というテーマでデザインしています。

基本構造は、自分なりにアレンジを終えた、洋家具に準じています。
つまり、「框組構造」とし、縦框は、「角」材を用いるという事で、カップボードと同様です。
専門的な事を述べますと、全ての振止は、帆立に柄で組み込まれています。
甲板は、スライディングダブテールキーによって、本体と接合しています。
これは、私のオリジナルのジョイント方法です。
この方法で、クセの強いホワイトオーク等も、ほぼ完全に押さえ込む事ができます。
箱台輪はダブテールジョイントです。
芝の洋家具ですと、台輪と本体の間に、3分のビード(紐面前頁のカップボード参照)を挟んだりしますが、
この箪笥はテーマに従い、内側に引っこませています。甲板と本体の間も同様です。