家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

工房について

始めに工房、あるいは材料置場について述べておきます。特に材料は湿気の影響を受けにくくしておく必要があります。

いくら高度な仕口や工法を用いて丈夫で耐久性のある家具を制作しようとしても、材の含水率が高ければ、仕口や工法でカバーしきれるものではありません。湿気を含んだ材木で作られた家具は将来において乾燥、収縮し、その結果故障する可能性が非常に高いからです。
そのために、工房とそこに置かれている材料の湿度管理(含水率管理)をきちんとする必要があります。次に必要なことが、木目の向き、つまり木材の伸縮を考えた材の使い方と仕口(加工法)の選択となってくるわけです。
材料の湿度管理(含水率管理)といいましても、特に難しいことではありません。私の場合は、古い建物を改造した工房でしたので、最初は非常に多かったそちこちの隙間を埋め、雨季、高湿度時には除湿機を作動させ、扇風機をまわして空気を循環させるという程度のことです。しかし、トラブルは極めて低くなりました。また、年間を通じ木工機械が高湿度のために結露することもほとんどなくなりました。

雨が続くような場合、最初の二、三日は、除湿機の水は晴れた日とほとんど変わらず、あまり貯まりません。そのかわり雨が止んでも二、三日間はけっこう貯まり続けます。木造の工房や材料が湿気を吸っているのが実感できます。私の使用している古い家庭用の除湿機の除湿能力である一日に5~6リットル程度では、広い工房と、そこに置かれている材料を低含水率状態に保つのは難しいかもしれませんが、それでも結構たまっていくのを見ると恐ろしくなってしまいます。ただ、除湿機は熱がこもりますので夏場は暑くてかないません、これからの木工所は、やはりエアコンが必要ではないかと考えます。
さらに、厳しい環境に納める予定の家具は、材料を荒木取りした後(あるいは荒木取り前)、ベニヤなどで作ったドライキルン(乾燥箱)に入れ、除湿機などをその中で運転し、空気を循環させて含水率を下げ、その後、製作に入る必要があるかと思います。あまり製作に時間をかけていると元に戻ってしまいますが…。

ついでに工房について気がついた点を述べますと、木工房に南向きの窓は必要ないと考えます。これから工房を建てようかという人は直射日光が入らないよう、軒を深くするなどの考慮をする必要があると思います。美術のデッサン室のような、明るい間接光の部屋が木工には最適です。直射日光は、木は反るし、眩しすぎてスミや裏刃も見にくいだけです。私自身、苦労して窓を切ったものの、あまりいい事はありません。

あくまで木工作業場は日が射さず、風も通らず、何が楽しいのか、寡黙な職人が一人黙々と木を扱っているというわけです。