フォーク ファニチャー
素晴らしいフォーク ファニチャーとしてランクされる、三種類の椅子があります。
ウィンザーチェア、スラットバックチェア、ペザントチェアです。
どれも、古くから作られており、今も作られ、飽きることなく使用されている椅子です。
ただし最近は、ペザントチェアは、若干ポピュラーではなくなって来ているようですが・・・。
ウィンザーチェアは英国で誕生しました。スラットバックチェアは、地中海沿岸地方(ラテン地方)が起源で、中世には存在し、総生産数は世界最多と言われます。
ウィンザーチェアと、スラットバックチェア(ラダーバックチェアとも言われる)は、元来、生木(グリーンウッド)から作られる椅子です。
ペザントチェア(Peasant Chair)は、モラビアンチェア (Moravian Chair) 、フィドルバックチェア(fiddle-back Chair)、ツーボードチェアとも言われています。
モラビア (Moravia) とは、チェコ共和国の中部、東部地方のことです。
ペザントチェアは、背もたれと、座面の2枚の板からなり、座面に脚が付く簡単な構造で、通常は、背もたれに彫刻(レリーフ(カービングともいう))が施されています。
アルプス周辺地域(南ドイツ、オーストリア、スイス)のティンバー フレーム住宅に施されたウッド カービング技術が投影された椅子とのことです。
そして、ウィンザーチェア、スラットバックチェア等のグリーンウッド(生木)を用いる椅子の部品と同様、十分乾燥されたパーツで作られてきました。
フィドル(Fiddle)とはバイオリンのことで、背もたれがバイオリンの形状をしたものが多いため、このように言われます。
日本ではペザントチェアと呼ばれますが、欧米では、モラビアンチェア、或は、ツーボードチェアか、フェドルバックチェアと呼ばれます。
因みに、ペザント(peasant)とは、農民、田舎者という意味です。
日本での通称は正確ではない場合が多々あります。誰かが、農民が使用しているというような説明を受け、ペザントチェアと、言い始めたのかも知れません。
ウィンザーチェア、スラットバックチェアにしても、歴史的には同じような状況でした。
「Peasant」で検索すると、ウィンザーやスラットバックチェアも数多く引っかかってきますが、その事実を証明しているように思えます。
余談ですが、最近では、ラテンスラットバックチェアのことを、「ゴッホの椅子」と呼ぶ学校関係者がいます。ゴッホの絵の中に登場するのが、その理由とのこと。
正確な名前で呼んでもらいたいものです。
どの椅子も、永い歴史の中で昇華していったと思える、非常に合理的な構造、意匠を持っていて、飽きが来ません。
基本に忠実に作られたそれらの椅子は、おそらく、色あせずに使われ続けられることは間違いないと思っています。
画像上は、ウィンザーチェアです。脚の形状、クリノリンストレッチャー、スピンドルの数から言って、典型的、伝統的イングリッシュスタイルのウィンザーチェアです。画像のものは、都会的でシンプルなスタイルを有しています。
■ウィンザーチェア画像引用先:Carl Moore
画像中は、通称ペザントチェアです。かなりシンプルな背版を持っています。
画像下は、ラダーバックチェア。オークションサイトで拾ってきた画像です。シートはヒッコリースプリントで張られています。
幅の広い部品がないだけに、部品の調達が容易で、動力の無い時代においては、非常に作り易い椅子だと思います。ただし、ダボ構造ですので大変故障し易いため、その克服に長い時間が掛かったと考えられます。