はじめに
家具作りのみならず、物作りにおいてデザインは非常に重要な要素ですが、素材を生かしながら洗練された家具を作るのは難しいものです。そして、デザインの方法が分からないという声を聞きます。そこで、デザインの方法について私なりの解釈による実用的なデザインの手法を解説していきたいと思います。しかし、最終的には各自に合った最良の方法は自分自身で見つける他なく、結局、数多くのスケッチを描くことが自分なりの手法を身につける近道ではないかと考えます。
また、デザインを行う前に大切なことがあります。作品、製品には個人やワークショップの姿勢がダイレクトに投影されます。つまり、最初に姿勢、理念を明確にし、それに沿ってどのような作品、製品を作っていくのかということが大切だと思います。そうでなければ、いつまでも特徴のない品物しか作り出せない結果になります。やはり基本的には一定の姿勢や理念を持ち、作品や製品を製作していく必要があるかと思います。
ハンドメイド家具のデザインに関して、率直に申しますと、最近のデザインレベルは相当上がっていると思います。しかし、未だデザインに関しては、かなり初歩的なレベルの作品も数多く見受けられます。形にすることが出来ただけで満足していると感じられるものから、バランスが悪いもの、作品全体にメリハリがないものまで様々です。やはり、デザイントレーニングの必要性を感じます。
ただし、例えば工業デザイナー、商業デザイナー、彫刻家、画家の方などが、ハンドメイド家具の仕事を始めても、意外に洗練されていない、無骨な家具を作ったりするのを見かけますし、かといって、そんな職種とは無縁の方の作品が素晴らしい作品を作っている場合もありますので、キャリアでは才能は判断できません。このあたりがハンドメイド家具の難しい所だと思います。