家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

オイルと油性系塗料の混合

オイルと油性塗料を混合する場合の材料について述べます。
様々な、混合を試した結果、使用する材料は、入手が容易な事。また、成分的に無理のない混合という理由で選択してあります。
下記の主剤と、混合物から各々選択して混合すればいいかと思います。

■主剤(植物油)について

乾性油として比較的入手しやすいものとして、桐油、煮亜麻仁油、荏油、脱水ヒマシ油をあげておきました。
また、植物油の代わりに、市販のボイル油、オイルフィニシュ用オイル (チークオイル(カンペ)、ワトコオイル)、などを用いても問題ありません。

  • 煮亜麻仁油(ボイル油)
  • 桐油
  • 荏油
  • 脱水ひまし油(一般的ではない。濡れ色感が少ない。黄変は少ない)

■混合物(バーニッシュ)について

入手の容易さを考慮すると、油変性ウレタン塗料(酸硬化型)、カシュー塗料、他にアミノアルキッド樹脂塗料(エナメル塗料と呼ばれるタイプ)などが考えられます。

  • 油変性ウレタン
  • カシュー漆:「透」(No.53)

■混合(1)

■オイル+油変性ウレタン
前述のように、米国のウッドワーカー、サム・マルーフなどが行っている方法です。
オイルのクォリティを上げる方法として、かなり効果があると思われます。
最近はアメリカでも、オイルにアミノアルキッド樹脂ではなく、油変性ウレタンを混ぜている例がかなり増えているように感じます。アルキッド樹脂塗料の混合のメリットは少ないのではないかと思います。

■混合(2)

■オイル+カシュー (鯛工房お薦めの方法)
鯛工房の場合は、桐油に、カシュー「透」(No.53)を混合しています。
最終的には一液性油変性ウレタンの混合と同等、あるいはそれ以上の物性が得られます。しっとり感や、光沢は一液性油変性ウレタンを混入した場合を上回ります。
油変性ウレタンを混入した場合と同じく、オイルのクォリティを上げる方法としては非常に効果があると考えられます。

■カシューについて

カシューポリマー(株)の話では、カシュー塗料の中でも、カシュー「透」(No.53)が、オリジナルの性質、色です。
カシュー「ネオクリアー」はカシューの成分もいくらかは入っていますが、ほとんどはアルキド樹脂をベースとしたものです。
「淡透」は「ネオクリアー」と「透」を混ぜ合わしたものと考えれば良いということです。当然、塗膜の物性は「透」より落るということです。ただし、「透」は、かなり赤っぽいので、好みが分れる所かもしれません。

カシュー漆の物性は、ほぼ天然漆に準じます。
内部にベンゼン核を有するために(化学式に)、天然漆同様、高い光沢があります。また、高い塗膜強度と、高い密着力を有します。オイルに混合する塗料に求められる物性では、一液性油変性ウレタンを上回ると考えられます。
また、オイル仕上げ中、最もしっとり感(手触り)が高いと考えます。 そのため、鯛工房では、ほとんどの場合、カシュー漆「透」(No.53)を、オイルに混合して使用しています。

■その他

サム・マルーフは、トップコートとして、混合オイルにビーズワックスを適量溶かし込んで塗布しています。ワックスを混入すると、しっとり感はでますが、手の湿気や、水分ですぐに曇ります。
カシューを混合したオイルで仕上げたものは、ワックスを混入しなくてもいい位、しっとりとした仕上りになります。
私は、塗装面が水滴で白化するため、ワックスは混入していません。

以上の、オイルと他の塗料の混合により、オイル仕上げの作業性及びクォリティーは、かなり向上するものと考えられます。
繰り返していいます。実際に製品に使用しようとしているオイルの一部、あるいは、あいている時間に、試験的に素材と混合率をかえ、ガラス板の上に滴下し、乾燥時間と塗膜強度を実際に確認して下さい。塗装工程上、進行の確認になりますし、低温時の乾燥の遅れの確認になります。
ただし、木材内部に浸透したオイルの乾燥は表面より遅れますので、この点は注意が必要です。