家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

ペーパーコードの椅子張り 2:平面張り・プラン張り(1)

「平織り」風の編み方です。デンマークでは、平面張り・プラン張り(Plan Weaving)と呼ばれています。簡単な編み方ですが、なかなか趣がある編み方です。
以前は、「カノコ」と呼んでいました編み方です。

■座面が長方形の場合

カノコによる編み 先ず、縦方向に張ります。イラストではスタート位置は左上です。先ず最初に頭の大きい釘でラッシュを止めます(図1)。
「図1」では、3(捨て巻き)・2(通し)・3・2~と巻いています。これは小さな子供用の椅子に張った場合です。通常の椅子の場合、私は 4(捨て巻き)・2(通し)・4・2~と張っていきます。これはシートサイズと編み目の大きさとのバランスで適当に変えてさしつかえありません。ただし、直径3mm のラッシュを使用した場合、2(捨て巻き)・2(通し)・2・2~ ですと、横方向の張りがきつくなりすぎて張りにくいと思います。

スピィーディに張る場合は二本のラッシュを使い、ダブルで同時に張っていっても構いません。

イラスト:座面が長方形の場合の編み 1 縦を巻き終えたら、そのままターンして横方向へ進みます(図1・右下部)。
縦、横がきちんと直線、平行になるように、ときどき矯正しながら張っていきます。

裏面の張り方ですが、表と同じように張っても構いませんが、時間がかかるだけであまり意味がありませんので、もう少し荒い「カノコ」 にしたほうが能率的です。
図では横方向を2本ごとに切り替えして編んでいますが、これを写真下のように5本位で切り返して編んでいきます(写真下)。この本数は任意で構いません。

イラスト:座面が長方形の場合の編み 2 また、裏面の縦のラッシュは平行ではなく斜めになっています。そのため横ラッシュを編んでいく際に途中でスイッチ(切り替えし)の必要があります。言葉では言い表しにくいのですが、実際に張ると容易に理解できます。特別難しい事ではありません 。

■座面が台形の場合

イラスト:座面が台形の場合の編み 1 座面の形状が台形の場合は、後ろと前のシートレールの差分をラッシュの直径で割った数だけ、後ろのシートレールの捨て巻き部分の巻き数を不自然に見えないよう、均等に減らします。しかし、面倒ですので、図の手順で編んでいく方が簡単で早いようです。

前シートレールに釘止めしてスタートします。後ろの捨て編みはしません。4・2・4・2のパターンでいきます(勿論変えても良い)(図3)。

イラスト:座面が台形の場合の編み 2 巻き終えたら後ろの捨て編みに移ります。そのとき縦糸は均等にしておきます。台形の形状によって捨て巻きの数はかわってきます。もちろん一定ではいきません。ばらばらで構わないわけです(図4)。

そのままターンして横張りに移ります。横張りは最後がどうしてもきつくなります。きついということは、横張りの波打ちが激しくなりますので、一旦ラッシュを切り、固定し、前からスタートするほうが奇麗かもしれません。

座面が台形の場合の編み 最後になるにつれ、縦ラッシュが強く引っ張られて余裕がなくなってきますので、棒を通して途中で引き抜き、ラッシュに余裕を与えます。棒は太さの違うものを用意し、途中で細いものと交換すると良いでしょう。棒はまたラッシュを通すのに都合がいいというメリットもあります。

シートレール内側に木ネジなどを揉み、それにラッシュを引っかけて表側へターンし、裏面の張りを省略する方法もありますが、量産ではない場合や、専用の金具がない場合は裏面も張った方がいいのではないかと思います。

イラスト:(参考)座面が台形の場合の編み イラストでは、丸脚・丸貫の椅子に張っていますが、このタイプですと脚よりも前貫の幅が少ないため、前貫と横張りの間に隙間が生じます(後も同様)。図5のような、脚と幕板の幅がほぼ同じ椅子の方が綺麗に仕上がります。
(注:イラストでは縦糸は平行に描いていますが、実際は後ろへ狭くなります)

■その他の編みかた (ヘリンボーン)

イラスト:ヘリンボーンでの編み ラッシュを用いたヘリンボーン張りです。基本的な張り手順は最初の方法と同じです。この張り方もなかなか趣があります。飛び越す数はシートサイズ等によってかえます。織りと同じですので、編み方によって様々な模様を描くことが可能です。
実際は下の写真のようになります。

[注意]
ヘリンボーンでの編み ペーパーコードの座編み…という小見出しにしましたが、寿司屋やソバ屋のスツールに用いられているホンコングラス等でも可能です。
写真とイラストはそれぞれ同じ目数です。