家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

ボッジング プロジェクト参加

英国の伝統的な椅子である、ウィンザーチェアは、元来生木から作られました。
その伝統に立ち返り、生木からウィンザータイプの椅子を作るというプロジェクトが計画され、2010年春に第1回目が開催されました。
動力の無い森の中で、手工具だけで、生木から各参加者がオリジナルの椅子を作るというものです。

その年の秋、私はロンドンのエキシビションでプロジェクトの主要メンバーに出会い、プロジェクトの概要を知ったのでした。

そんなプロジェクトのことなど、すっかり忘れていた2012年の1月終わり、プロジェクトの代表である、家具デザイナー、クリス(Chris Eckersley)からのメールを受け取ったのです。
それは、彼らが夏に行う予定の、第2回目のプロジェクトへの招待でした。

かねてから、念願だった椅子作りに軸足を移すことを決めた時から、自分の作る椅子は、ウィンザーチェアとスラットバックチェアつまり、グリーンウッドワーキングの技術をベースにした椅子を作る事にしていましたから、このオファーを断る理由はありません。
直ちに参加を決めました。

幾つかあった問題の一つはフォーマーです。
ウィンザーチェアですから、通常曲げ部品を用います。
曲げ部品を用いるには、曲げ用のフォーマーが必要です。
現地ワークショップには、フォーマーはあるということでしたが、オリジナルデザインの椅子を作る場合、完全に同一なフォーマーなど、あるはずはありません。

現地でも作る事は出来るという事でしたが、初めて使うことになる、足踏み式のウッドレイズ(旋盤)作業が、どの程度時間が掛かるか不明で、心配でしたから、現地ではフォーマーを作らず、持参することにしました。

オリジナルデザインの椅子を作りますから、在り来りでも面白くないし、第1回目で制作された椅子には、それなりの試みをしたものがありましたから、新たな解釈を加えたデザインを考え、事前に試作を行うことにしました。

ウィンザーチェアは、ほぼ完成している椅子だと思います。そこに手を加えて、まとまりのある椅子にするのは難しいと思っていますが、それでは、新しいモノは生まれません。

新たな試みを加えたプロトタイプが画像の椅子です。

プロトタイプ正面 ただし、この椅子を手工具だけで、ある程度きちんと、且つ時間内に仕上げるのは難しいだろうとの判断から、これを作るのは中止しました。

画像はありませんが、次に制作したものが、実際に現地で作った椅子です。
これは、クリスへのプレゼントとして持って行くことにしました。
バックレスト部分は組み立てず、手荷物で持って行きました。

参加者が宿泊している「エコハウス」で「お披露目」。
結果的に、現物持参は大変役に立ちました。クリスなどの責任者や、他の参加者が、私のスキルレベルを確認する事ができ、ある程度認めてくれたからです。

持参したものは、曲げ木用フォーマー、シートテンプレート、原寸図、部品図。他は筆記具。
聞いていたとおり、全ての必要用具・工具は準備されていました。

ちなみに、参加費用は£450(昼食付)。
しかし、制作した椅子をコレクションとして寄贈し、他のエキシビションへの展示を条件に、主催者が負担してくれました。
(2014/07/14)