ベンディング
曲げの設備は、基本的に私が行っているものと同じです。
ただし、ガスの代わりに薪を使います。
竈(カマド)の上に鍋を置き、その上に蒸籠(セイロ)を乗せるという感じです。
実際は、ドラム缶でお湯を沸かし、その上に、四角いスチーマーを乗せて材料を蒸します。
曲げに入る前からスタッフが火を燃やし、曲げの準備に入っています。
雨が続き、薪は乾いていないので、ガンガン燃えません。
問題は、フォーマー(曲げ用の型)です。
オリジナルデザインのため、現場に使えるフォーマーがあるとは思えません。
事前の打ち合わせでは、現場で制作するのも可能という事でしたが、不安だったので、フォーマーも持参しました。
フォーマーを固定するためのボルト穴は、自宅の治具に合わせたものです。
しかし、曲げの前にスタッフが、曲げ用の作業台に穴を開け、私のフォーマーを固定してくれていました。
心配無用でした。
画像(下)は、曲げ用の作業台に取り付けられたフォーマーと、曲げ開始直前。
曲げ当日、曲げ担当のスタッフが来ることが出来ませんでした。
そのせいか、曲げでトラブルが続きました。
それまでに何度か、参加者と曲げについて話していました。
私が、曲げについての経験を持っているということで、今回のトラブルに関して、私の見解を求められました。
火力が弱いためスチームのパワーが低い。そのため材料の温度が上がらない。
荷締め用などに用いるファブリックストラップは、初期伸びが大きいのでスチールストラップに代えるべき、等々の考えを述べました。
その後、驚いたことに、ガトランとスタッフは、私の全ての提案を実行したのです。
多少の経験があるとはいえ、元々の技術ネタは、欧米のテキストだから、不思議な感慨がありました。
曲げ作業が、ある種エキサイティングな雰囲気の中で行われるのは、私が経験した、アジアでもヨーロッパでも同じです。
通常曲がらないものを曲げる作業というのは、何時でも何処でも、少し特別な緊張感があります。
曲げた後は、紐で縛り、ドライキルンで乾燥させます。
画像(中)の、作業台の脚に引っ掛かっているのが、ファブリックストラップ。今回使っているのはスチールストラップ。
(2015/04/23)