曲げに必要な機材について
■ベンディングハンドル
ベンディングストラップを取り付け、蒸した材料をセットして曲げるためのハンドルです。これにはボルトを埋め込んであり、エンドブロック(着脱ブロック)とハンドルの間にベンディングストラップを挟んで蝶ナットで固定します。曲げる材の木口がエンドブロックの端面(木口)と接触するわけです。
曲げ始めるとストラップは引っ張られ、材料はエンドブロックで押し返され、圧縮力を受けることになります。ボルトはストラップと共に引っ張られ、想像以上の力がかかります。私は、金物屋やDIセンターで売られている普通のφ8mm のものを使用していますが、このボルトが曲がります。できれば高強度のボルト(ネジ専門店等で入手可)を用いるべきです。
私が日本で使っているハンドルは、全長560mm、幅90mm、厚さ40mm です。締結ボルトからハンドル部先端までは280mm)です。着脱ブロックは長さ115mm、幅45mm、蝶ナットで固定し、ストラップを取り外し易いようにしています。
実際に曲げに使用した結果、このハンドルでは女性には短すぎる感じです。材質や曲げる材の大きさにもよりますが、アームボウなどは比較的太いので一人で曲げるのはかなり困難です。そこで、私の場合は女房に手伝ってもらうのですが、女性にはこのサイズのハンドルで、アームボウは曲げられません。2倍の約600mm(ボルトからグリップ部後端)あっても長すぎません。1000mm あってもいい位だと思います。最後は応急的に1m位の棒をハンドル部分にクランプしてようやく曲げることができました。
上写真下のハンドルは日本で使っているものです。上の白っぽい材質のハンドルはマレーシアで制作したものです。マレーシアでは、合計10本作りました。柄の部分を削り出すと制作に時間がかかりますので合わせ構造としました。合わせ部分がスリップするとストラップが効かず割れが入る可能性がありますので、接着剤と3本のJCB(ジョイントコネクターボルト)を併用して接合しています。この認識は重要です。材料に引っ張り応力が発生しないようにすることが大切なのです。
サイズは、全長620mm、幅90mm、厚さ50mm です。ハンドルとストラップの締結ボルトはφ10mm の六角穴付きボルトを使用しました。このボルトの強度は申し分ありません。エンドブロックとエンドブロックの間は約1550mm です。曲げる材料は1540mm 程度に木取ります。
■ベンディングストラップ
当てガネです。写真はベンディングハンドルにベンディングストラップをセットしたところです。曲げる時に生じる引っ張り応力をこのベンディングストラップが担います。このパーツで曲げの成否が決まるといっても過言ではありません。
私が現在、メインに使っているものは、幅40mm、厚さ 0.9mm、長さ1750mm です。幅はフォーマーの高さに合わせておいたほうが良いでしょう。これは、製材用のバンドソーのブレードをシャーで切断してもらったものです。最初に板金屋で入手したステンレス製の1.2mm のものは作業中に伸び、それに気が付かずに失敗を重ねました。板金屋さんは1.2mm のステンレスが伸びることを信用してはくれませんでした。ステンレスの材質の規格は判りませんが、軟鋼に近い材質でした。ステンレスだからといって信用してはいけません。結局、製材所で使用済みのブレードを調達し、ストラップ用にシャーリング加工してもらい、なんとか曲げることができました。バンドソーブレードの材質は、カーボンスチールですから非常に硬く、穴開け(ボルト用)には相当苦労します。
このバンドソーブレードでもボルト穴が引っ張られて長穴になりました。ものすごい力がかかっているのが分かります。
マレーシアで使用しているものは、幅50mm、厚さ0.9mm のストラップで、やはりバンドソー用の素材です。この幅より狭いものは厚さが薄いため、この幅を購入したのです。
ベンディングストラップには、製材用バンドソーブレードの用済みのものを用いるのが良かと思います。比較的入手しやすく、値段は安く、強度的にもほぼ問題ないからです。また、同じ長さのストラップを4~5枚程度用意しておくと良いでしょう。ただ、鉄製ですので木材と反応し、接触面が黒く着色されますので、材料との間に薄い木を挟むか、ビニールシートのようなものを接着剤でストラップに張りつけておく必要があります。幅広のビニールテープや布テープを張りつけるのは簡単な方法ですが、熱で接着剤が軟化し、曲げる最中に滑って材が外れます。