KD式サイドチェア
東南アジア諸国で製造される家具類の多くは輸出を前提としているため、ほとんどがKD(ノックダウン)構造になっています。
KD金物とは簡単に分解組み立てを行うための金具のことで、家具類には多く使われているし、最近はホームセンターなどでも入手できるため、特殊なものではなくなっています。
ジョイントコネクターボルト(JCB)や、ジョイントコネクターナット(JCN)を用いるのが一般的であるし、専用設計された金具が用いられている場合もあります。
アジア製の椅子の中でも、小椅子(サイドチェア:主に食堂椅子などとして使用される)に見られる特徴的なKD構造についていえば、「前脚と前幕板を接着したユニット」と、「後脚を含む背もたれ部を接着したユニット」を、側幕板を介してKD金物や木ネジでジョイントするというものです。
低級品は、側幕板と前後のユニットは直接JCBでジョイントされています。
今回、研修生が制作したプロトタイプは、側幕板を含むシートユニットを一つのパーツとし、前後のユニットを木ネジで締結するというKD構造です。これは、主に中高級品に用いられる方法で、KD金具が表面に出ないという利点があります。
しかし、前後の幕板が二重になるという無駄があります。
ストレッチャーは組み立てた後、下から木ネジで固定されます。
今回制作した椅子は、KDという特徴の他に、通常であれば制作が難しいデザインの椅子を比較的簡単に制作できる手法ということで紹介しました。ストレッチャーを丸棒にしたのも、加工を考えてアレンジしたものです。シートユニットはダボ構造です。
休日を利用して椅子作りをされる方々にも利用できる方法ではないかと考えます。