オイルフィニッシュ用塗料の各構成要素について / ボイル油
■ボイル油について
生(絞ったまま)の乾性油は、空気中に放っておくと乾燥はするけれども、最初のうちは乾燥速度が非常に遅く、ある一定期間(誘導期間)をすぎてから比較的速やかに乾燥します。これは、油の中に少量の酸化を妨害する物質があるためです。加熱した乾性油、または半乾性油に空気を吹き込んで、ドライヤーを添加すると誘導期間がなくなり、乾燥性がさらに良くなります。これをボデー化するといい、その結果得られたオイルのことをボイル油といいます。
ボイル油に用いられる油の種類としては、亜麻仁油、荏油、大豆油、桐油、魚油などがあり、乾燥剤としては、コバルト、マンガン、鉛などのナフテン酸塩が用いられています。また、シンナーは含まないのが原則ですが、地塗り用ボイル油、速乾ボイル油などの特殊なもの、及び下級品には、灯油、テレピン油、ミネラルスピリッツ、揮発油などのシンナーで希釈してあります。
- 粘 度 :乾性油は加熱または酸化の度合いによって粘度は上がっていきます。
- 乾燥性:ボイル油の乾燥時間は、標準の環境(20℃、湿度75%)で 20~30時間程度です。地塗用ボイル油、速乾ボイル油のような特殊品は、10時間内外で乾燥します。
■ボイル油製品の種類(分類1)
現在、一般的に製品として購入可能な製品は、煮亜麻仁油、外部用ボイル油、速乾ボイル油、地塗用ボイル油などです。最近は市場では数量的に少量しか動いていません。しかし、塗料店で比較的容易に入手することができます。
(1) 煮亜麻仁油
亜麻仁油だけを原料とするボイル油で、外部用として耐久性がよく、特に耐候性が要求される場合に用いられます。内部用として用いるには、「やけ」が多いといわれています。
(2) 外部用ボイル油
亜麻仁油、荏油などの乾燥性の強い乾性油を主体として、これに麻実油などを配合したもので、耐候性、乾燥性が良好です。
(3) 速乾ボイル油
特に乾燥が早いボイル油で、気温などにもよりますが、ほぼ10時間前後で乾燥します。乾性油に桐油を配合し重合度を進めたもので、シンナーを含みます。
(4) 地塗用ボイル油
プライマーオイル、又は桐シャブとも呼ばれます。木材塗装の地塗用ペイントの調合に用いられるボイル油で、桐油を多く含み、シンナーの含量が多いのが特徴です(50% 程度あります)。地塗用ペイントは塗装したときよく素地に浸透して早く乾燥し、上塗りに比べて硬い塗膜を作ることが求められるペイントです。
(5) スタンド油
乾性油または不乾性油をほとんど空気を遮断した状態で300℃程度に加熱して濃稠化した油で、光沢のある弾力性の皮膜を作りますが、乾燥はボイル油より遅いものです。最近では、生産はされていますが、ほとんどみかけなくなりました。
■ボイル油製品の種類(分類2)
JIS-K5421 に定められているものです。私は、最近のJISの内容を確認していませんから詳細は割愛いたします。興味ある方は、各自JISガイドブックを確認して下さい。
■ボイル油製品について
参考までにボイル油製品の製造会社とその品名を紹介しておきます。なお、製品記号は各社で独自に付けている場合も多く、ここに上げたものがJIS準拠品かどうかは把握していません。 (古い資料ですので注意して下さい(2004/04) | |
大東ペイント (株) 〒243 神奈川県厚木市上依知 1043 Tel: 0462-45-0208 |
・地塗ボイル油 ・ボイル油 A ・ボイル油 B(樹脂ボイルと呼ばれているもので、フタル酸樹脂等が混入されている。簡単にいえば、煮アマニ油にエナメル塗料が入っていると考えてよい) |
大日本塗料 (株) 〒554 大阪市此花区西九条 6-1-124 Tel: 06-466-6653 |
・地塗ボイル油 l ・ボイル油 A (JIS規格品) ・ボイル油 M (JIS規格品にほぼ準ずるが規格品ではない) |
昭和ワニス (株) 〒103 東京都中央区日本橋人形町 1-19-3 Tel:03-3669-1251 |
・生アマニ油 ・煮アマニ油 (No.0~No.7) ・生桐油 ・煮桐油 (t25・t50・t100・t200) ・生ヒマシ油 (注:通常は乾燥しない) ・脱水ヒマシ油 |