作業台について 1
作業台は我々にとって非常に大事な「備品」です。しかし、工房を始める時にきちんとしたものを準備しないで間に合わせを使いますと、不完全な、単なる「台」のまま、ずるずると使われ続けられる場合が多々あります。いつも不満を持ちながらも、いざ作るとなるとかなり大変で、最初の「間に合わせ」を使い続けることになるのです。イラストの作業台は、以前若い実習生が来ることになったときに、慌てて作ったものをベースに、引出しを取り付けるなど、使いやすいよう改良していったものです。
作業台は非常に重要な必需品です。これから工房を開こうとしている方々には仕事初めに、まず、きちんとした作業台を製作することを薦めます。
私の場合、最初は杉の角材でフレームを作り、余り物のホワイトオークやレッドオークを矧いで甲板とし、それを乗っけてコマ止めしただけの作業台でした。製作にあたっての主な留意点は以下の三点でした。
- 甲板をなるべく広く、フラットな作業台にする。
- 組み立てのときに弾まないよう6本足にする。
- 高さは多少高めにすること。
- [参照] SIZE : 2050(W)×950(D)×810(H)/ 甲板 t=29(甲板の厚みは仕上りいっぱい)。
その後、時間のあるときに順次、1.引出し(正面) 2.カンナ立て(側面) 3.物入れ(裏面 : 引出しの反対側) 4.木製バイス(車のジャッキのシャフトを利用)を作りつけました。
欠点や不満足な点、反省点
- 甲板の端(正面側)をもう少し伸ばすべきだった。F-クランプ等でクランプしにくいため。
- 引出しの取っ手は掘り込みなどにすべき(!)。現在ノブが付いていますが、これに電動工具のコードや衣類のポケットが引っかかってしまうし、ときどき膝もぶつかる。
- 脚が引出しの前板より少し出ていますが、これにも時々膝がぶつかって痛い思いをしてしまいます。引出しの面とフラットにするべきだった。
- 甲板は吸い付き桟で取り付けるべき。コマ止めにしましたが、コマから先の両端が反ってきてしまい、伸縮を無視して上から木ネジで固定してしまいました。組み立てや、甲板削りの際には作業台はフラットでなければなりません。
- 甲板の両端(長手)に等間隔でストッパー(通常は沈めておき、必要な場合にしたから押し出して使用)を取り付けておくべきだった。
- 高さは700~750mm 位の方がいいかもしれません(老眼対策としても。ただし、腰痛対策としてはこの位の高さの方が良いようですが、高さに関しては人によって様々な意見があるようです)。
使いやすい点
- 甲板が広いこと(もう少し大きくてもいい位です:1000×2500mm 位)。
- 甲板にアリ溝切り、そこに差し込んで使うストッパーは簡単にできて便利です。ストッパーは高さの違うものを用意し、薄い鏡板などには高さの低いものを用います。
- 引出しがあること。始終使うものがすぐに取り出せるのは非常に便利。欲を言えば、一番上の引出しはもっと浅くする、スライドレールを用いるという点でしょうか。
- ジャッキを利用したバイスは安くできて結構使えます。特に不都合はありません。また、バイスは二つ設置したので板材等を挟むのには非常に便利です。
- 鉋立て、物入れは重宝しています。
バイスの取っ手は厚さ40mm、直径78mm の木製です。手で締められるように大きめにしました。手締めでも結構事足りますが、圧締力が必要な場合は、取っ手に開けた穴に丸棒(テーパー付き)を差し込んで増し締めします。車のジッキを利用したシャフトは取っ手に埋め込み、エポキシ接着剤で固定してあります。シャフトが作業台本体へ入る穴はルーズ穴です。
バイスのジョー上部分にダブテール溝を作り、本体にストッパーを取り付けておけば(現在のダぶテール溝をバイス部分に移すということ)、加工材(甲板等)をバイスで固定できますので、より便利だと考えられます。
物入れ(抽斗の反対側)に入れてあります「当て木」などが振動で落ちるため、そのうちに扉を付けるなどの改善を行なうつもりでいますが…。