木端(キバタ)
工房を始めて間もない頃には木端や板矧き器を自作していました。国産の一般的な金属製の端金は高価で使いにくいこと、資金が足りないこと、そして、時間だけはあったからです。その頃制作した木端は、私の強度への不安を裏切って壊れることもなく、今も時々使用しています。
現在メインで組み立て用に使用していますのは、水道管にセットする米国ポニー社製クランプです。そのために自作木端はあまり活躍する機会がなくなりましたが、軽いこと、当て木が要らないことが便利ですので重宝しています。
ポニー製クランプは、エンドピースが任意の位置まで簡単に移動できて自動的にロックすること、水道管を使うために、必要な長さのクランプが簡単に作れることが非常なメリットですが、我々が個人輸入した頃はまだ一般的ではなく、水道管の規格はインチサイズということを知り、おそらく使えるであろうということで取り寄せたのです。
写真のものは木部の全長が1200mm です。長いもので、全長が2000mm のものなど全部で10本所有しています。
現在は直径12mm(4分)の建築用全ネジボルトにナットを溶接して使用しています。最初は直径9mm のボルトを使っていましたが、ネジ部が駄目になったため、12mm のボルトに交換しました。これは板矧ぎにも使用し、強力に圧締していたためです。それにしても、壊れるかと思っていた木部はまだ壊れてはいません。丈夫なものです。
ボルトに押されるプレッシャーブロックに挿入されたダボ(両面で4本)は、本体バー にルーターで切られた溝(両面)に支えられ、プレッシャーブロックはスムースに動くようになっています。
また、プレッシャーブロックの内部には、ボルトを受けるための四角い鉄片を組み立て時に挿入しています。
エンドブロックと本体のバーはボルトで固定され、ボルト穴は90mm ピッチで開けられています。これは、プレッシャーブロックの移動量はおよそ100mm 弱あるためですが、もう少し狭いほうが便利です。また、この部分のボルトの頭が出ていますが、それが座りを悪くしています。これは改善点です。
ボルトを受けるナットは当初角ワッシャーと溶接して木ネジで本体と固定していましたが (写真5)、ボルトを交換のときに取り去ったままです。木ネジの跡が見えます。最近、一時的に電気コードを固定するためのステープルを打ち込んでナットの回り止めにしています(共回り防止)。強度的には多少不安な面もありますが、ナットは回転によって引っ張られ、ブロックに押さえつけられるために回転しようとする力は意外と小さいのです。
写真5のようにボルトをずらしてナットを早回し、ステープルの位置まで戻すと(写真2)素早い圧締が可能ですので、ナットを固定してしまうよりも便利ではあります。
何らかの理由でポニークランプフィックスチャーを使わない方は木端を試してみるのも良いかと思います。参考までに各部の寸法を載せておきます。なお、使用材料はオークと樺です。 また、本体に、ボルトをまわすレンチの規格番号を記入しておくとレンチを素早く選ぶことができます。些細なことですが、迅速な作業の秘訣です。