スクレパーの使い方
スクレパーは鋼製の薄い板状のツールです。これに極僅かな刃返りを付け、この刃返りで木の表面を削り取り、綺麗に仕上げます。鉋ではなかなか取れない厳しい逆目や微妙な逆目も簡単に取ることができます。
代表的な形状は、長方形と雲形の二種類です(写真一番上)。
長方形(板状)のスクレパーは、平面や大きな「R」部分を削るのに適しています。使い方は、写真(上から二番目)のように両手で持ち、親指でスクレーパーの真中を少し押して弓状に反らし、押して使います。引いても良いのですが、私はこの道具に関しては押すほうが使いやすいと思います。スクレパーを材料にあてる角度や曲げ具合は、各自使いながら試し、都合のいいポイントを探して下さい。
雲形のスクレパーは、写真のようにウインザーチェアの座面の仕上げなどに用いると非常に重宝します。スクレパー自体が刃物で余分な本体がありませんから、刃先を確認しながら作業ができ、形が複合カーブですから、写真のようにウインザーチェアの座面形状にきちんとフィットして奇麗に仕上げられます。日本の反り台鉋より使いやすいかもしれません。
こちらも、親指でスクレパーの真中を少し押して弓状に反らし、押して使います。
刃のつけ方ですが、最初にスクレパーをバイスで固定し、金工用ヤスリでスクレパーの刃先(厚さ部分)の整面を行ないます。
ヤスリは「水平」を保ちながら注意深く…。ヤスリがけで出たバリは後でヤスリで簡単に取り除いておきます。
次に、極僅かのオイルをスクレパーに塗り(塗らなくても良い、好み)、バーニッシャーと呼ばれる柄の付いた金属棒を水平にし(釘締やセンターポンチのようなものでも代用できます) 、ほどほどの力で、数回スクレパーをこすります(この工程は省略可)。
さらに、バーニッシャーをスクレパーに対し、斜めに(一般的な角度は5~15度程度)強く押し当ててこすります(イラスト右)。両サイド、両面とも行ないます。指で触ってバリが出ていなければ、出るまで強くこすって仕上がりです。強くこすれば一度でもOKです。回数や押さえる力加減は各自で試して下さい。
参考までに応用別バーニッシャーのあて角度を挙げておきます。
スクレパーは非常にシンプルなものですが、実は非常に理に叶った道具です。二枚刃鉋と同じ原理で削っているのです。
バーニッシャーで生じた刃返り(バリ)がスクレパーの刃となり、スクレパー自身が二枚刃鉋の裏金の役目をします。つまり、刃返り(バリ)で薄く削られた薄い木材(鉋屑)は、逆目の原因である割れが進行する前に、直ちにスクレパー自身(本体)で折り曲げられます。しかも、日本の一般的な鉋より遥かにきつい角度で折られます。そのためスクレパーでの削りは逆目が起きないのです。
角度 | 応用例 |
---|---|
0 | 象嵌など |
0~5 | 一般的な使用 |
5~10 | 多く削る場合 |
10~15 | ペンキ剥し等 |
先入観を捨てて使ってみる事を勧めます。非常に利用価値の高いツールです。また、簡単に研げて、容易に切れ味を取り戻します。
購入は海外の工具を扱っている輸入代行業者に注文するか、多少面倒かもしれませんが、自分で海外から取り寄せます。高価なものではありません。