縦挽き鋸刃(リップソー)について(補足)
「昇降盤とブレードについて」の中で、カネフサのA2について書きました。その後、カネフサ技術サービスの方に補足説明を受けましたので報告します。
カネフサの丸鋸の中で、頭に「A」の付くタイプは、仕上カットやクロスカット用で、刃は4枚に1枚が平刃であり、5枚組刃となっているのが特徴だそうです。平刃は本体の振れを押さえるのが目的だそうです。
また、A2はかなり古い製品であり、少ないチップで切り幅を確保させてあるため、一つ一つのチップは本体の片面にはほとんど出ていません。それに対し、A10、A15などのチップは台金の両面に飛び出しています。これは振動を押さえるためだそうです。つまり、挽肌はA15などのほうがいいということです。
さらに制振性を高めたものに「LS-P 制振チップソー」という製品があり、これは従来の製品にレーザー加工により台金の4箇所にS字形のスリットをいれ本体を制振させるというものです。(LS-Pスリット仕様対応チップソー:スーパーハイマックス等)以前はA2もそれなりに良かったのかもしれませんが、技術は進歩しているということです。
ただし、A15ハイマックスもA2とそれほど変わらないという方もいます。言うまでもありませんが、最終的には使用目的、使用箇所、仕上り挽肌の綺麗さの要求度、価格などによってチョイスされるものであります。
研磨についてですが、新品の場合、正面から見ると刃先と台金のクリアランスは通常0.4mm だそうですが、研磨を繰り返すことによりこの値が小さくなってきます。これもきれいに切れない原因の一つだそうです。また、上右図のような左右が違う場合などは挽き曲りの原因になりますが、最近は研磨機の性能もいいし、研磨不良の問題も少ないのではないかというお話でしたが、研磨屋によって切れ味の違いは確かにあるわけで、機会があれば研磨屋さんのお話を聞きたいと考えています。
切削位置の違いによる影響度 | |||
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小 | 切削位置 | 大 | |
大 | 刃先摩耗 | 小 | |
小 | 刃先ピッチング | 小 | |
良 | 挽き肌 | 悪 | |
悪 | 材料ヤケ | 良 |
「薄い材の柄取り」の場合ですが、きれいな切り肌のためには、材の中に刃が最低二枚は入るような刃数のブレードを選択すれば理想だそうです。