トラッピングプレーン
日本国内では、お目にかかることはほとんどない英国製の工具です。
木工旋盤でテーパー状の丸棒を作るのに非常に便利な工具で、特に細くて長い、ウインザーチェアのスピンドルのような丸棒を作るのに最適で、通常ならぶれて削れないような多少曲がった材料でも加工できるのが特徴です。
鋳造アルミでできた本体に、木製のV-ブロックが装着されたレバーが付いていて、そのレバーを握る事によって、木製V-ブロックを介して材料は刃物に押し付けられます。
レバーを握りながらトラッピングプレーンを横へスライドさせながら、感覚でテーパーに削っていくものです。
勘所というか、慣れるしかありません。
木製ブロックのV溝は両サイドに大小作られていて、丸棒の直径の大小により、木製ブロックを回転させて使い分けます(写真2)。
ブレードには、多くの西洋鉋と同じように2つの調整ネジが付いていて、このネジで刃の傾きと出入りを調整します(写真3)。写真4はブレード押さえを外した所です。
背もたれに使う細い丸棒(バックスピンドル)を例にとって使い方を説明します。
旋盤のベルトを架け替え、回転を毎分400回転前後に落とします。回転が速いとラウンダーの刃先が焼けるので要注意です。
チャックに材料を固定し、最初にラウンダーで荒削りを行います。ここでは、5/8インチ(約15mm)に削っています。この加工はラウンダーの項を参照して下さい。
材料のテーパーのスタートする位置に鉛筆などでマークをして、ラウンダーで先端の直径を決めます。ここでは3/8インチ(約9mm)に削っています(写真一番下)。これはスピンドルの上端の直径になります。
次に、丸棒をトラッピングプレーンの本体に材料を挟み(通し)レバーを握りながら少しづつ削っていきます。握る力は一定にして、右方向から左へ移動しながら削ります。これを繰り返すことによってテーパー加工を行うことができます。