家具制作鯛工房

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カネフサ製替刃式手鉋 「技秀」

カネフサ製替刃式手鉋 カネフサの替刃式鉋は以前から試してみたかったのです。その存在を否定する、しないに関わらず、率直に性能を確認してみたかったのですが、使用できる機会を得てテストを行いました (現在も継続して使用中)。

結論からいいますと、この替刃式鉋はプロでも使えると思います。

この鉋は、「寸六(65mm)」幅と、それより少し広い「寸八」という二つのサイズが用意されています。一般的な使用には「寸六」でいいかと思います(写真は寸六)。
構造について説明します。写真でも分かるように、替刃は幅(長さというべきか)13mm です。その替刃が、通常我々が鉋身(この製品ではホルダー)と呼んでいるパーツにマグネットで張り付いています。替刃は、替刃押え板と呼ばれる部品でホルダーに強く止められます。
押え板をセットする場合、ホルダーに切られています溝がガイドになるので容易に行うことができます。
また、鉋台の加工精度も高く、一般的にプロが使用している鉋とほとんどかわりません。ただし、台の調整は必要です。

この製品は、刃(替刃)に最初から裏刃の役目をするチップブレーカーを機械加工によって作り付けてあります。これによって刃の研ぎと、面倒な裏刃の調整から開放されるということが最大の特徴となっています。
替刃の材質はハイス(ハイスピード鋼)ですが、コーティングを行い耐久性を増しています。

カネフサ製替刃式手鉋・構造 製品の構造は良く考えられていて、使用中に刃が切れなくなっても、鉋身(ホルダー)を台から抜かずに刃を交換することができます。
交換する場合は、押え板を取り外し、切れなくなった替刃を外(下端(鉋台下面)方向)へ押し出し、下端から新しい替刃を挿入するとマグネットによって正しいポジションに吸着されます。再度押え板をネジ止めすると交換完了となり、そのまま作業を継続できます。

我々にとって、替刃式鉋への最大の関心事は、切れるかということと、(長)切れするかという点です。また、切れるかという点には、逆目がどの程度止まるかというポイントが含まれていると思います。

替刃には、標準タイプと、別売で逆目止めタイプが用意されていますが、どちらも充分に切れます。この点に関しては想像以上でした。特に杉、檜は良く切れます。しかし、逆目に関しては、逆目止めタイプでも思ったほど逆目は止まりませんでした。しかし、ひどい逆目が起きるわけではありません。
参考までに、刃先からチップブレーカー(裏刃)までの距離は、標準タイプで、0.25~0.3mm、逆目止タイプでは、0.20~0.25mm です。裏刃から刃裏までの距離は、0.15mm、裏刃のコーナーは 0.1R です。

カネフサ製替刃式手鉋・使用状態見本 耐久性に関し、私が通常使用している一般的な鉋と、同じ条件で比較削りをしたわけではありませんので正確な評価はできません。しかし、楢材を削った場合の感覚的な評価を許してもらえるなら、一般的な鉋の2~2.5 倍、せいぜい3倍程度の耐久性ではないかと感じました。
この件に関しては、もっと柔らかい材料ですともう少し長く使えるのではないかと思います。

カネフサの設計担当者に確認した所、大工さんの使用、つまり杉・檜を削るということを前提に基本設計がなされているということが分かりました。そのために、楢などの堅木への使用に関しては多少無理があるわけです。それは、逆目を止める、刃物の耐久性等の点です。

私の、メーカーへの要望は、第一に、刃先へもう少し大きな「R」を付けてもらいたいという点です。つまりボカシと呼ばれる機能で、鉋むら(削った部分に段差ができること)をなくす対処。現在のものも多少ボカシは付いています。
第二に、ホルダーの頭は現在直線状にデザインされていますが、これを大きなラウンドに変更することです。刃先を目視しながらホルダーの頭を叩いて刃先を出す場合、ラウンド状のほうが都合が良いからです。
逆目を止める、刃物の耐久性に関しては敢えていいません。これを言うなら、大工さん用ではなく、ハードウッド専用を発売してもらいたい所です。

製品の作りは良心的です。替刃の購入価格は、1枚当たり¥550(1セット5枚入り) です。別途に消費税と送料¥530がかかります。この価格で使う価値はあるかということですが、これは各自の判断になってきます。
それでも、持っていれば替刃式という気安さから、ついつい使ってしまいます。特に現場作業や、釘などに刃先が接触する危険性が高い場合、使い古した替刃に交換して削るのは重宝します。また、時間的制約から、研ぎの時間が惜しいという場合にも威力を発揮します。