家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

木工旋盤 WT-300 のチューンナップ 2

長い間、WT-300を使用してきました。しかも、かなりハードに使ってきたと思います。結論として、当初イメージした以上に使えた(長持ちした)というのが正直な印象です。
(騙しながら使ってきた部分もありますので、神経質な方、最初から完璧を求める方には、この超チープなマシンは合わないかもしれません)

誤解して頂きたくないのは、このマシンはそのままでは使えません。そのように考えたほうがいいと思います。自分に合った改造を施すことによって長持ちもしますし、使えるようになっていくマシンです(ただ、前提としてロークォリティを認識すること)。よって、DIY的メンテナンスが嫌いな方には向いていないマシンといえるかもしれません。ただし、難しい理論に基ずく整備は不要ですので、メカいじりが好きな方にはオモチャ感覚で整備でき、それも楽しみと感じられる方にはそれなりに楽しい(?)マシンといえます(プロには少々辛い部分もありますが・・)。

WT-300には様々な弱点があります。
その一つが、スピンドル(ドライブシャフト)の片端が、六角穴付止めネジ(M6)を1つ使用したエンドストッパーで固定されていることです(図参照)。

ドライブセンターは、中空スピンドルの中に棒を通し、ドライブセンターを突いて取り出します。この時の打撃に、押ネジ1つによってスピンドルを固定しているエンドストッパーがスピンドルをロック出来ず、スピンドルは徐々に内側にずれ、同時にプーリーが本体に当たって異音が発生することもあります。
ただし、材料を固定するとスピンドルは元の位置に戻されるので、エンドストッパー及びスピンドルがルーズになっていることに気が付きません。

ライブストックを開放した特殊作業中に、とうとうスピンドルが抜けてきたために、イラスト(下図)のような改造を行いました。

スペーサーは木製です(仮スペーサー)。左端のロックナットは逆ネジです。当地では、逆ネジを速やかに入手することが難しいので、1度も使ったことの無いレフト側フェイスプレートのネジ部分を切り落として、ロックナットとしました。

これで、スピンドル全長方向に渡り、全ての部品をロックできたと思います(エンドストッパーの止めネジは使用していません)(プーリーの止めネジ(回り止め)は使用しなくてはなりません)。
ロックナットは締めすぎるとベアリングを傷めますので、ダブルナットで固定するのが望ましい所です。
この改造は、このマシンを購入後、できるだけ早い時期に行うことが望ましいと思います。

その他
この修理時に感じたスピンドルのガタ(実はもう少し以前からあったかもしれません・・)は、左端のロックナットを締めたことによって取れました。ということは、ベアリングが傷んでいる可能性があります。今回は、応急修理ですので組み付けたままですが(傷みそうで何度もスピンドルを取り外したくないため)、次にチェックするときにはベアリングの交換も視野に入れる予定です。

イラスト:WT-300駆動部

図中 注1:マレーシア滞在中に、オーストラリアから購入した台湾製同形式の旋盤のパーツリストを見ると、ベアリングの位置決めに「C型止め輪(穴用)」(Retaining Ring C-Type)を使っています。今回はベアリングを外していないので判りませんが、WT-300も同様かもしれません。