木工旋盤 WT-300 のチューンナップ 5 (UE氏の改造)
私の記事を読んで連絡を頂いた青森県在住、UE氏のWT-300改造を紹介します。
(UEさん、多くの画像を送って頂きありがとうございました)
以下、UEさんのWT-300改造録です。
私のプーリーはモーター側がぶれて振動が多く、クレームで交換しましたが、それでも満足のいくものではありません。
WT-300の改造は騒音と振動のため必要に迫られてやりました。ネットで皆さんの改造をチョイ仮りしたり、自分で試行錯誤し、どうにか使えるようになりました。現在は本当に静かに廻っています。
主に青森のヒバ材で子供のおもちゃを作っています。
これまで行った改造は、
- モーターベアリングのグリス注油(モーターを分解し、スプレー式シリコングリスを回転部に吹きつけ組立てたら意外にも効果があった)
- スピンドルベアリングの交換(騒音が劇的になくなる)
- スピンドルベアリングカラーの市販品への交換
- モーターベースの切り離し(モーター単独ベースでベルトの張力調整)
- モーター電源ケーブルの中間接続(メンテナンス向上)
- チャックぶれ防止のため、オリジナルのナットをベアリングアダプタ用のナットに交換
- 駆動側プーリーの交換などです。
■モーターの切り離し(写真1)
木製モーターベースは台につける前に下からモーター固定用のボルト4本を入れています。その後、上から木ネジで台にがっちり止めています。
台にモーターベースを止めるときは、仮にモーターを台に上げてベルトを掛け、プーリーの平行を確認しながら台とモーターベースの位置を決めました。
ベルト張力のためのモーターの移動はモーター側のボルト穴のスライド範囲で行なっています。
張力調整は頻繁に行う必要がないので、4本のボルトでもそんなに苦になりません。モーターのロックをハンドルロック式に出来ないものか検討してみたいと考えています。
同時にモーターメンテナンスのため、電源ケーブルも途中で切断し、コネクターで接続しています。
■スピンドルベアリング交換(写真2)
騒音の根源でした。両側の2個を交換しています。専用工具がないのでチョッと難しかった(以下手順)。
- 市販のベアリング2個購入
- まずプーリーとカラーを外します。
- 外側からゴム製のハンマーで少し強めに叩きシャフトを抜きます(割と簡単に外れます)。
- 8ミリ位の鉄の棒をベアリングの穴から挿入し内側から反対側のベアリングの外周を軽く叩きまず1個外します。同じ手順で2個目を外します。
- 新しいベアリングを入れる前にハウジングの内側をきれいにします。
- チャック側のベアリングをシャフトに入れます。そのままではなかなか入りません。バーナーで遠火にベアリングを暖かくすることで割りと簡単に入りますので完成時の所定の位置に入れます。
ベアリングの熱が完全に冷めるまで待ちます(スポーツ用スプレーで冷やしました)。 - 外側のシャフトがハウジングのセンターにあるようシャフトに紙を巻くなどして支持します。
- ベアリングの挿入は外径と同じ位の径の金属管を用意し軽く叩きながら所定の位置まで入れます。
- 次に外側ベアリングですが、入れる前に台座を移動してチャック側シャフトと台座の間に木材を挟み、外側からの押しに対応させましす。台座は作業終了までそのままにしてシャフトを押さえておきます。
- 外側のベアリングも内側と同じにバーナーで暖かくし筐体に接触するまでに挿入します。筐体に接触したらベアリングの熱が完全に冷めるまで待ちます。
- 後は内側で使用した金属管を使用し、ゴム製ハンマーで軽く叩き込み所定の位置まで入れます。
■ベアリングカラー交換(写真3)
ベアリングカラーにヒビガ入っていたため交換。
シャフト径に合わせたナットに交換。写真では止めネジが1本しか見えませんが、実際は2本で止めています。
■ロックハンドル(写真4)
シャフトロック用のロックピン(プランジャー)は小さくて使いにくいので、ピンの径にあわせたアルミのハンドルを作りました。
アルミ板に5ミリの穴を開け、ロックピンに叩き込みました。ピンにはローレット加工(ギザギザ)しているため抜けてくることはありません。私は瞬間接着剤で補強しているので全くガタがありません。
すごくいい感じです。今反省しているのは、ハンドルのデザインをもう少し考えればよかったということです。
■ベルト交換(写真5)
オリジナルベルトの品質が悪かったため、国産のベルトに交換。
■シャフトのセンター穴拡大
シャフトのカップセンターなどを外すとき7ミリの突き棒が入らなかったので、シャフトセンターの穴を8.5ミリドリルで拡大。
■フェイスプレート端面の面出し(写真6)
材を付けて回すとブレて使用できないため、フェイスプレート端面を友人の工場で旋盤加工。
交換したベアリングアダプタ用のナットと合わせ、ブレが非常に少なくなりました。
■ベットの固定ネジ追加(写真7)
ベッド(丸いパイプ部品)とヘッドストックとは、ヘッドストック背面のモーター側の1箇所で止まっているだけで不安でしたので、ヘッドストック前面にドリルで8ミリの穴を開け、タップを立てて2本で止めるようにしました。
画像は、ヘッドストック前面に追加したM8止ネジです。
■延長パイプの適正化(写真8)
基本パイプでは短く、延長パイプでは長すぎると思っている方は多いと思います。
基本パイプでは、器作り用ボウルガウジが長くテールストックに当たって使いにくいのですが、延長パイプを取り付けると長すぎます。
そこで、延長パイプを400ミリで切断し最大加工長650ミリ(私はこれで十分)のベットにしました。これで普段でも長めのボールガウジを使用するときテールストックが邪魔になりません。
ベットを繋ぐボルトは市販の10㎜全ネジボルトと袋ナットを購入し、ベット長に合わせて切断し使用しています。