手押鉋盤の改良
手押し鉋盤の定規ユニットの取付け位置は、定盤上に「手前・中・奥」と、3ヶ所あり、定規ユニット全体を移動させることによって、定盤幅全体をカバーするような構造です。
このような構造にしなければ、定規の調整ネジ長さが伸びて奥行が長くなります。
これはこれでいいのですが、本体と定規を固定するハンドル操作がスムースに行えず、使いにくいという問題がありました。
ハンドルが低く、調整ネジ部に触れるために半回転ごとにレバーをスライドさせて回さなければなりません。これが、作業の「腰を折る」のです。
そこで、ハンドルレバーの軸を伸ばし、調整ネジ部の上にレバーをもっていきました。これで、ロックレバーは連続回転できるようになり、定規ユニットのスムースな移動作業が行えます。
昔の手押し鉋盤には、これと同様の、長い(腰の高い)ロックノブの付いたものがありました。
今回の改良には、(株)ミスミの「FA用メカニカル標準部品」カタログから選んだ部品を用いました。
ハンドルレバーの軸の延長には、同カタログから、シャフト(スタンダードタイプ(片端オネジ・片端メネジ))。ハンドルレバーにはクランプレバー(M8)を使用しました。
クランプレバーは内部にセレーションが切ってあり、持ち上げるとセレーションの噛み合いが外れ、任意の位置にレバーを回すことができますので邪魔にならない位置に持っていくことができます(画像一番下と同機構)。
クランプレバーのネジ上部には逃げ溝がないために、クランプレバーを最後まで締め込めません。そのために、2㎜厚のワッシャーを挟んでいます(ワッシャー径:φ30/厚さ:2㎜。シャフト径:φ30/長さ:100㎜)。
当然ですが、シャフトとクランプレバーは、しっかり締結しておかなければなりません。
同時に定規の角度調整機構のロックハンドルも交換しました。
ロックハンドルが短く(およそ100㎜)、しっかり締めることができなかったために、六角穴付フラットテンションレバーに交換しました。この構造は前述のクランプレバーと同様です。これは、レバー長が150㎜以上あるのでしっかりロックできるようになりました。
画像上から1~2を比べると長さの違いがよく分かります。
フラットテンションレバーは六角穴付タイプを選ばなければなりません。レバーを回転させるスペースがないため、普通のテンションレバーは取付るのが困難です。
セレーションを外し、六角穴用レンチでテンションレバーのネジ部分だけを回してテンションレバーを取り付けます。
中古機械のために、オリジナルの構造は分かりませんが、これで多少は気の利いた構造になったと思っています。