木工旋盤 WT-300 のチューンナップ 7
■WT300のインバータ化 2
前回は、一般的な使用(プーリ比1:1。ベルト掛替無)を前提として書きました。
WT300での私が用いる回転数は、1560rpm(3速)と、2520rpm(4速)(60Hz)です。
それとは別に、ラウンダーを用いたスピンドルの製作作業では、ラウンダーの推薦回転数が450rpm程度ですので、1速(575rpm)に掛替ての作業となります。
この時の減速比は、約1: 3。
これは、モータ出力の約3倍に当たる、1.5kw相当で駆動していることになります(これでもパワー不足の場合がある)。
0.75kwモータを用い、減速比1:1ですと、1560rpm(3速)~2520rpm(4速)をカバーできますが、プーリの掛替なしで、1: 3(575rpm)までは、トルク面でも到底カバーしきれません。
そこで、オリジナル1速(575rpm:減速比約1: 3)相当をベルト掛替による変速、オリジナル3~4速(1560rpm~2520rpm)相当を、インバーターによる速度コントロールとする2速構成で行う事にしました。
プーリは、鍋屋製A型汎用3段プーリを使用することにしました。
現状の使用領域をカバーできる汎用プーリは、これしか見つけられなかったのです(現在(2014/05)は、汎用3段プーリの製造は中止されています)。
1.5kwのモータ(注1)にすると掛替無しで行けそうですが、WT300のフレームに乗らない事、高価になるために諦めました。
フレームに乗せず、テーブルにモータを直付けすれば駆動は可能ですが、面倒でもあったのです。
所が購入した、旧型未使用の格安モーターが、鋳物製一体フレームで頑丈なのは良いのだけれど、モーターの取付け穴が長穴ではなく、固定穴で、WT300のモーターベースに少しだけ合わないのです。
フレーム部分のチェックを怠ったためでした。
結局、テーブルにモーターを直付けしました。
手間でしたが、WT300の華奢なフレームに取り付けるよりは良いかもしれません。
また、プーリの防塵カバーのモーターシャフト用長穴も、接触しないよう広げなければなりません。
インバータ本体から配線を引出し、電源スイッチは旋盤上に、スピードコントロールは、旋盤近くに設置しました。これでインバータ関連の設置作業は完了です。
次はインバータのセッティングです。頻繁に使う使用回転数の周波数(Hz)を確認します。
周波数を変えながら、タコメーターで回転数を確認します。
常用使用する回転数と、その制御周波数は以下でした。
1500rpm:32.5Hz
2500rpm:52.0Hz
周波数は、いい線に収まったと思います。
インバーター駆動時の基底(ベース)周波数は60Hzです。それを越える周波数で運転すると、トルクは低下していきます(今回の場合、そこまで回すことはない筈ですので、大した影響はないかと思いますが ・・・)。
注1:1.5kwモータ
汎用モーターの場合、30Hz以下の周波数では、モーターの冷却能力が低下し、温度上昇等の問題があるそうです。従って、連続運転する場合は、モータ容量を大きいものにした方がいいとのこと。
その意味でも、今回の場合は、1.5kwモータがベターだったかもしれません。
画像上は、3相0.75Kwモーター(三菱SB-E / 0.75Kw-4P)。
画像中は、鍋屋製汎用3段プーリー。端面に見える四角いマークは光学式タコメーター用の反射テープ。
参考資料:「ヘイシン モーノポンプ」から、ポンプの周辺知識クラス / インバーターの基礎知識