家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

化学的な前処理を行う曲げ

化学薬品を木材に含侵、軟化(可塑化)させ、曲げ加工を行うものです。化学薬品による曲げ処理(可塑化処理)の代表的なものとして、アンモニア処理(液体アンモニア、アンモニア水、アンモニアガス)、アルカリ処理などがあります。以下、アルカリ処理について解説します。

アルカリ処理による曲げ

水酸化ナトリウム(加性ソーダ)や加性カリなどを用いて可塑化させるものです。薬剤はすべて水溶液として用い、不快なにおいもなく、常温、常圧でおこなえるため、特別な装置、熱源も必要ありません。また、一度アルカリ処理を行った材は水がある限り柔らかさを保つ特徴があります。処理材は、乾燥しても再び水分を与えると元のように柔らかくなります。欠点として、薬品により材が変色するということがあります。この加工に利用できる板厚は、10~20mm が限度ですので、利用範囲は限られてきます。

アルカリ処理により可塑化が起きる理由として、通常は真っ直ぐな木材の繊維が収縮し、たるみを生じるため曲がりやすくなると考えられています。これは、物理的か化学的かの違いがありますが、次項で述べる、「事前(縦)圧縮曲げ」と似ています。また、興味深いことに、収縮は加性ソーダで 5~10%、加性カリで 10~20% の濃度範囲でしか生じません。

1.処理液の調合
実用的には安価で入手しやすい、苛性ソーダを用います。まず、苛性ソーダの 10~15% 水溶液を作ります。水 90~85 に対し加性ソーダ 10~15 の重さの割合で溶かします。加性カリの場合は溶液の濃度を 10~20% にします。

2.含侵(侵せき)
溶液中に材料を浸け、浸透させます。

3.漂白
アルカリ水溶液から出し、3~5% の過酸化水素水の中に入れ、漂白。(省略可)

4.水洗
余分な薬剤の除去。

5.乾燥~曲げ加工

■参考文献:ウッディエイジ (木材の研究と普及) 第 35 巻/通巻 408 号