冷間曲げ
煮たり蒸したりという加熱処理をした後に曲げる曲げ方は、熱間曲げ(ホットベンド)と呼びます。これに対し、水につけただけで型入れして曲げる方法を、冷間曲げ(コールドベンド)と呼びます。木材は水分だけでも軟化しますから、大きな「R」の曲げの場合は、コールドベンドでも曲げることはできます。ただし、熱間曲げよりも目切れの無い良材を必要とします。加えて、曲率の小さな曲げでは失敗率が高くなります。スラットバック(ラダーバック)チェアのスラット(背板)や、ウィンザーチェアのスピンドルなど、大きな「R」の部材はコールドベンドで曲げることが可能です。
このように書くと大仰に聞こえますが、昔からよく行われている方法に、反った材に水をつけて逆に反らして固定し、曲がりを直すという方法がありますが、これはコールドベンドであり、特殊なことではありません。
上の写真はスラットバックチェアの背板を曲げているところです。手順は以下のとおりです。
(注:我々はスラットの曲げに関し、通常ホットベンドで行っています)
- 木取りした背板を一晩水に浸けておきます。反りが出ないように正目材を用います。
- 型にセットします。ぬれているので、写真の材は濃い色をしています。蒸した場合は、高温のため表面はすぐに乾くので白っぽい色になります。そして、十分乾燥させます。
これだけです。非常に簡単ですが、きつい曲げには適しません。型入れの後、ストーブの前などで強めに熱っして乾燥させるとスプリングバックがあまり出ません。ただし、熱しすぎるとひび、割れが入るので注意して下さい。