2D-CADの利用
■2D-CADによるラフ図面化
1mm ピッチのA4サイズやロール状のセクションペーパー(グラフペーパー)に、原寸や、1/10で検討し、大まかな形状が決定した後、2D-CADを用いて、正確な3面図の作図に入ります。
椅子の場合、デザインがユニークでも、構造的に成立が難しい問題等も、この時点である程度、クリアーに出来ます。
また、この時点で、まだはっきりと形状の決定が出来ない場合、簡単なラフモデルを作って形状確認することもありました。
そうです、「過去形」です。以前はそうでした。
しかし、3Dモデリングを用いると、その必要性は低下します。
これだ!、という形状の決定が出来なくても、2D-CADで、取り敢えず形状の決定します。
2D-CADによる「ラフ図面」制作です。
そして、この図面を3Dモデリング化し、形状確認を行います。
立体イラストレーションですから、かなり形状の確認がし易いかと思います。
そこで、どこが良くないかを立体映像で確認します。そして、問題点の修正を、2D-CADに戻って行います。
さらに、修正点だけを、再度3Dモデリング上で確認します。
3Dモデリングの部分修正ですと、それ程時間はかかりません。
この段階で、それ程おかしなモノでない限り、まずまずのモノが出来るのではないかと思います。
画像右は、3Dモデリングによるサイドチェア。座面は、描写時間を省くために単純化しています。
また、この時点で、3Dプリンタを利用し、1/5立体モデルをプリントすると、一層イメージが掴みやすい訳です。
3Dプリンタは、価格も下がり、興味がありますが、使用予定は、1/5立体モデル位ですので購入を躊躇している段階です。人柱になってもいいのですけど・・。
3Dモデリングによって最終決定された画像は、そのまま、カスタマーやクライアントに提示できますので、大変便利です。
■2D-CADによる製作図面
形状が完全に決定されたら、2D-CADによる、製作図面の作成に入ります。
製作図面ですので、正確な寸法が必要です。
ウィンザーチェアのように、水平、垂直、直角の無い椅子の場合ですと、実寸、実角を求めるのが面倒です。2D-CADを使いこなす前提して、「図学」の学習を薦めます。
ウィンザーチェアの場合は、多くの部品が丸棒です。丸棒の場合、基準は中心線です。
中心線を基準として作図します。ドリルの穴開け位置等は、中心ではなく表面ですので、正確に位置を出します。
このテーブルも、2D-CADが活躍しました。
幕板が大きく湾曲しています。中心位置が遠いので実寸が描きにくいのです。
実長の薄板で、大体のカーブを把握し、仮想空間で寸法決定しました。
桟の斜めの導付角度は、カーブの接線からですので、正確です。
また、組立用の治具寸法もCADを使用するので効率的です。
穴開け角度、昇降盤のマイターゲージの角度は、CADによって角度さえ出しておけば、後は、デジタル角度計をあて、治具、ゲージをセットします。そのために、自由定規の出番は非常に稀となります。
木工用ドリルビットや、角鑿用箱鑿には逃げ角がついていますので、デジタル角度計を直接当てると、やや不正確です。まあ、加工誤差範囲だと、気にしなくても大丈夫ですけど(加工誤差はもっと大きい?。