オイルフィニッシュ用塗料の各構成要素について / 樹脂
■樹脂について
樹脂は一般的に天然樹脂と合成樹脂に分けられます。樹脂とは元来、樹木や動物が分泌する粘稠物質のことで、松ヤニなどはそのよい例であり、固く透明性のある、ガラスのような有機物質で、もろいものが多く、加熱により軟化、溶融したり、アルコールやエーテルなどの溶剤に溶けます。木材から採取されるものとしては、ロジン、コーパル、ダンマル、カナダバルサム、エレミ、サンダラック、マスチック、グッタペルカ、ウルシなどがあり、昆虫の分泌するものとしてはセラックがあります。また、樹脂が化石となった化石樹脂としては、コハク(琥珀)、コーパルガムなどがあります。以上の天然樹脂はそれぞれに特徴ある性質を持っていますが、数量的には極めて少なく、我々が入手するのは困難なものが多いようです。
合成樹脂とは、外観や性質が天然樹脂に類似した高分子物質に与えられた名称ですが、両者は本質的にはまったく異なる物質です。塗料に用いられる合成樹脂の種類は非常に多く、ほんの一例としてアルキド樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、等々があります。本項では、合成樹脂についてはこれ以上触れません。
以下、主な天然樹脂の種類と特徴を述べます。
■ロジン
松材から得られる樹脂で、ロジンには製法の違いからガムロジン、ウッドロジン、トールロジンに分けられますが、脂肪酸組成の違いにより性質が異なってきます。ロジンは脂肪族炭化水素溶剤(ミネラルスピリッツ等)に溶けやすく、溶剤離れも良く、速乾性、内部硬化性、硬度、光沢に優れた塗料用樹脂です。
ガムロジン
松に傷を付け、生松ヤニを水蒸気蒸留し、テレピン油を分離して得られるものです。
ウッドロジン
松の根や切株、あるいは幹をチップにしてナフサで抽出し、抽出物を分別蒸留し、ウッドテレピン油を除去して得られたものです。
トールロジン
松材からパルプを製造するときに得られるトール油を精製して得ます。
■コーパル
コーパルとは総合的名称で異なった種々の樹脂を含んでいます。コンゴ、マニラ、カウリコーパルなどがあります。生樹による軟質のものと、化石樹脂のものがあり、後者は天然樹脂の中では最も硬いものに属します。ダンマルに比べて幾分濃褐色ですが、塗膜は硬く透明で速乾性です。長時間加熱処理をしなければ乾性油や溶剤には溶解しません。軟化点110~140℃、融点180~340℃。
■ダンマル
東南アジア産のフタバガキ科の樹木から得られる樹脂です。良質なものは無色透明から淡黄色、中級品は暗褐色、ロジンよりやや硬いのですが天然樹脂の中では軟質に属します。テレピン油に常温で溶解し、乾性油にも加熱によって溶解します。塗膜は淡色で光沢がある。融点100~160℃。用途はワニス、限定されたラッカー、電線塗料等に限られているそうですが、テンペラ画用のメディウム用のワニスには、コーパルなどと共に用いられます。
■琥珀
化石樹脂、石炭の一種。加熱により150℃ で軟化、250~300℃ で溶融、硬度約3、アルコール、エーテルなどに少量溶けます。アクセサリー、ワニスの原料となります。