家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

椅子の座張りの名称について

ペーパーコードを用いた椅子の座張りについて解説しています。
私が把握している、ペーパーコードを用いた椅子の座面の張り方は、大きく分けて二種類あります。
どちらの張り方も、日本国内では、決まった名称があるように思えません。
この度(2017/04)、デンマークの関係者に問い合わせ、記事としてまとめました。

Envelope Weaving(封筒張り)

椅子の座張り(封筒張り) Y-チェア(CH24 / Wishbone Chair)や、寿司屋や蕎麦屋のスツールに張られている張り方です。

この張り方は、英語では、「Envelope Weaving」。デンマーク語では、「Kuvertflet」と呼びます。
簡単に、「封筒張り」「エンベロープ張り」と呼んで良いかと思います。
(あるいは、「封筒編み」「エンベロープ編み」)

この編み方で編まれたシートは、「ファイバー ラッシュ シート」とも呼ばれます。
(あるいは、ペーパー ラッシュ シート)
ここでのファイバーとは、紙。
ラッシュとは、天然素材や、紙を撚って紐状にした素材。
つまり、「紙を撚った紐による座面」という事になります。

Plan Weaving(平面張り)

北欧の椅子に見られるもので、我々が「カノコ(鹿の子)」と呼んでいる張り方です。感覚として平織りのように編んでいく椅子張りです(織の平織りとは違う)。

「カノコ(鹿の子)」という呼び方について述べます。
当工房のスタッフは、編、織、染をやってきました。その中で、編みや織りの作業から得た印象から、この椅子張に近い編み方として、カナコ(カノコの方言)と呼び始めました。
関連する資料も見つけることが出来ない、30年も前のことです(現在2017年)。

椅子の座張り(平面張り) 織りの技法に照らしても、似たような織り方はありますが、この編み方にマッチする手法はありません。
椅子張りは、伝統的な織り技法とは分けて考えるべきだと思います。

染でも「カノコ」と呼ばれる技法がありますが、これはまったく別物です。
一部の絞り染技法の呼び名ですから、混同しないようにして下さい。

今後は、紛らわしいので、「カノコ」という呼び方はやめようと思っています。

この張り方は、英語では、「Plan Weaving」。デンマーク語では、「Planflet」と呼ばれます。
簡単に、「平面張り」「平張り」「プラン張り」で良いのではないかと思います。
(あるいは、「平面編み」「平編み」「プラン編み」)

この編み方は、ペーパーコードを前提として、単に「ケイン」とも呼ばれます。
つまり、ペーパーコードを用いた「ケイン張り」ということです。
ケインとは、籐(Cane)です。
参考までに、ケインでは「封筒張り」は出来ません。