家具制作鯛工房

モダンでシンプルな家具を制作する家具椅子工房です

木製板矧ぎ器

木製板矧ぎ器使用例 第三作目の木製板矧ぎ器を紹介します。制作にあたっては、一、二作目の反省をもとに以下の事項を考慮しました。

  1. 板厚の違いに対応できるものであること。
  2. 外注に出さずにほとんど自家制作できる構造であること。多少の溶接位ならいいのですが、切削加工などが必要な設計になってきますと高価なものになりますし、また業者間の持ち回りも面倒になってきます。
  3. ダメージを受けたパーツを容易に交換できる構造であること。
  4. 強力な圧締が可能なこと。強力な圧締は自助車のジャッキ(パンタグラフ式)を用いることで解決できるのではないかと考えました。さらに、自動車用ジャッキはストロークも結構取れますので使いやすいはずです。

木製板矧ぎ器使用例・ジャッキ部分 三作目はもう十年以上使っていますが故障や部品のダメージもなく、素速い圧蹄ができます。特に二人で作業を行なえば接着剤の堆積時間内での作業も可能ですし、締めつけのときに、一人が矧ぎ器の上に乗ることによって目違いを減らすことができます。厚板の場合は勿論ですが、薄板の場合、圧締による波打ちが少なく、都合がいいようです。私はそれを8セット制作しました。最大福1200mm の甲板の矧ぎが可能なサイズにしてあります。

木製板矧ぎ器使用例・エンドストッパー 写真の矧ぎ器の一本のパーの寸法は22x45mm ですが、もう少し細くても問題ないようです。可動式のストッパー(エンドブロック)のポルト用の穴にはナンパーをふり、位置が判り易くしてあります。その穴ピッチは80mm ですが、もう少し狭くても大丈夫なようです。上下を固定する通しポルトは、小さめの穴を開け、ポルトの頭を叩き込んであります。
接着剤は使用していません。厚い甲板の場合、長いポルトに交換できるようにです。めったにポルトを交換しない場合は、ポルトを埋め込むときにシリコンコーキング剤を塗ってシリコンが充填するようにし、打ち込むといいのではないかと考えます。ポルトが多少グラグラするのを防止するためですし、ポルトを外す気になれば外せるからです。また、甲板と接触する面にはワックスを塗り、はみ出した接着剤と治具がくっつかないようしています。

エンドストッパー(分割時) 失敗点としては、使用するジャッキを、私が当時所有していたダイハツの軽トラのもに合せたため、治具がやや小さく、入らないジャッキがあるということです。制作する場合は、まず、必要数の同じタイプのジャッキを調達してから寸法の割り出しを行なうべきです。
軽トラのものを流用する場合は、ダイハツとスズキのものは弱いので止したほうが賢明でしょう。三菱、スパルのものが強度が高いようです(ホンダはその中間)。しかし、軽トラック用よりも普通車のものがいいかもしれません。

この記事は、FWW 誌のメソッド オプ ワーク欄に投稿し掲載されました。発表は FWW 誌が最初です。契約事項として、このことを表示する必要があります。

■参考文献:Fine Woodworking June 1992 No.94 / The Taunton Press